玉村先生の教え 4 育種にだけは手を出しちゃいけません

若い頃、先生からいろんな品種をお預かりした事があった。まだ、品種が確定していない頃のスチューベン。成りやすかったが、作っていたピオーネに比べると、う~んであった。山梨県育成の笛吹。自分の技術ではどうにもならなかった。花が付かないんだから。山梨県の育種家、間瀬さんの数種類。デラを改良したい一心の品種だったが。ご家庭の問題まで聞こえてきたので玉村先生はこういうことを言っているんだと思っていた。何せ育種は時間と費用と面積が必要だ。安芸津の先生は一代で一つ出れば運がいいとおっしゃってた。だが、先生の言いたかった事はもっと壮烈な歴史を見て示唆してくれていたのだ。
新潟に岩の原葡萄園がある。創業者の川上善兵衛翁はぶどうの世界では知らない人がないくらい有名な人だ。あのマスカットベーリーAの育成者なのだ。記念館も整備され葡萄園の歴史がわかりやすく解説されている。地域の農民救済と食料確保(ワインを作ることで日本酒の米を食料に回せる考え)を目的に幕末の偉人、勝海舟に相談している。勝曰くやってもいいが「おこも」(乞食)になるなよ、と。結果は、菊水印で大正天皇の行幸まで名誉を得たが、勝の言ったとおり、50ha余りの田畑を失い、借金王になり、離婚までさせられている。それを救ったのが今は大企業s社の創業者T氏なのだ。
ここで、思い出したのだ。先生の育種にだけは手をだしちゃいけませんの意味を。「松浦さん、色々言われますが、違いますよ。T氏が助けたのですよ。」川上善兵衛翁の苦労、育種の苦労を知りすぎるほど知っていたのだ。だが、玉村先生が私に言った意味は、もう少し低いレベル、「あなたには育種なんてとても無理ですよ」。であり、今になってみれば先生のおっしゃる通りであった。
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