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師走のベートーベン

誰が何と言ったって師走のベートーベンと言えば、第九に決まっている。知人のコーラスグループの人はわざわざドイツ語で歌うのを楽しみにしているぐらいだ。ここではそうではないのだ。ブドウの剪定作業をしながらNHKFMを聞いていた。ここでかかった曲がベートーベンの「ロマンス」なのだ。もう50年近くになるが、大学の1年生の時だった。自分は高校時代からラグビーをしていて、大学に入ったらもうあんな辛いラグビーは絶対やらないと思っていたのに、部員の人に誘われたらその場で「入ります」と言ってしまったことを思い出す。あまりにもあっけなく承諾したので、その後先輩になる人がきょとんとした顔をしていたのを思い出した。ある日、4回生の先輩が私を喫茶店に誘ってくれた。今では懐かしい名曲喫茶というところだ。初めて入った名曲喫茶という代物に少しドキドキしていた。先輩がリクエストしたのがこの「ロマンス」なのだ。運命か田園ぐらいしか知らない自分にとっては、この上品で、良質な名曲は青春真っ只中の自分に染み入っていた。そして、あまりのギャップに戸惑っていた。第1に先輩の風貌である。ラグビー部だからがっしりした体で、短髪、いかつい顔をした先輩だった。あちらの筋の人と間違えられるほどである。さらに、こう言ったのである。「おれはラグビー部に入れば女の子にもてると思った。しかし、この4年間まったくもてなかった」と。ラグビーと女の子を一緒に考えたことがなかった自分はまったく返答に困ってしまった。黙って、コーヒーを飲む以外にすることは無くなり、「ロマンス」もどこかへ飛んで行ってしまった。土木専攻のあの先輩同じこの時間に「ロマンス」を聞いていたら嬉しいなあ。
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嬉しい出来事

またしてもワインの話なのだ。塩尻のK氏が醸造してくれた今年のワイン、大変好評なのだ。わが自慢の秋津姫は元々、白ワインの作り方で絞ったロゼなので雑味はないと期待していたが、その通りのワインに仕上がった。良いワインってどんなワイン?良い悪いは別にして個人が飲んで美味しいと感じたのが一番いいワインだろうと思ってはいるけど。もちろん、安心安全は当たり前だけど。不思議なことに(不思議でもなんでもないのかも)ワイン通と言われる人やフレンチのシェフ、中華の若い人まで訪れてくれた。飲んだことのないワイン。スーと飲める。酔い心地がいいなどお褒めの言葉をたくさんいただいた。ブドウの出来が良かったせいか。醸造技術のたまものか。よくわからないが満足できるワインなのだ。この後、まだ熟成中の秋津姫もある。どう変化していくのだろう。ワインの面白さのひとつは、時間を経て生じるこの変化を楽しむことかもしれない。ソムリエでもないからよくわかってないけど。自分が師事したR先生がヨーロッパに視察した時飲んだワインの評価がまさにこれだった。香りが豊かでスーとのどを通って行く、だった。ワイン評価でよく使われる綺麗な言葉では表現できないが正直な評価だと思う。
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Author:松浦葡萄園
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